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誰にでもわかるNGO用語解説 〜スタディツアー〜 


メールイカロス No.473
発行:(株)マイチケット 2009年9月5日 トラベルメールマガジン

誰にでもわかるNGO用語解説 〜スタディツアー〜

「NGO福岡ネットワーク(FUNN)」には、福岡地区の20団体以上の
NGOが加盟している。FUNNはスタディツアー合同説明会やスタディツア
ーの危機管理に取り組んでいることもあり、マイチケットとは協力関係にある。
このFUNNは隔月700部の機関誌『国際協力ニュース』を発行している。
この機関誌の中に『誰にでもわかるNGO用語解説』というコーナーがある。
これまでの連載で「NGO」「ODA」「グローバリゼーション」「児童労働」
などの「NGO用語」が解説されてきた。連載第7回目、8月号のテーマは
「スタディツアー」。FUNNの編集会議で「スタディツアーといえば専門の
マイチケットに書いてもらおう」ということになり、原稿執筆の依頼がマイチ
ケットに舞い込んだ。
丁重な依頼のメールには「スタディツアーとは何か、言葉の定義や目的、内
容、成果、危機管理などを踏まえながら分かりやすい解説」「中学・高校生レ
ベルの内容であること」「紙面はA4サイズ1ページ」という注文がついてい
た。以下は8月号掲載文の転載である。
「誰にでもわかるNGO用語解説 〜スタディツアー〜」

※スタディーツアーって何?
スタディツアーには国内のツアーもありますが、この欄はNGO用語解説な
のでNGOが企画する海外スタディツアーの話しをします。「スタディツアー」
「フィールドワーク」「フィールドスタディ」「ワークショップ」「体験学習」
・・・「スタディツアー」には似たような名前のツアーがいっぱいあります。
しかしそもそも「スタディツアー」は和製英語。参加する側にとって気になる
のは中味です。見分け方は「スタディ」がつくとお勉強重視型、「ワーク」が
つくと体験重視型、この程度の違いと理解しておきましよう。
大切なのはスタディツアーと一般のパッケージツアーの違い。それは、ツア
ーで出会う人々です。パッケージツアーで出会うのは現地旅行社のガイドさん
やホテルのスタッフなど観光客のお世話を仕事にしている人たちです。その土
地に暮らす普通の人と出会うことはほとんどありません。人々に出会い、人々
の暮らしに触れること。これがスタディツアーの特徴です。日本に帰ってから
も、ツアーで出会った人々と自分の暮らしがどのようにつながっているのかを
考えることができます。これがスタディツアーを企画するNGOの目的です。

※企画する人と参加する人
企画する側のNGOには参加する人に分かってほしいツアーの目的がありま
す。その目的は現地の事情の広報であったり、自分たちの活動の賛同者を募る
ことであったりします。では、参加者は、この目的に共感した人、賛同した人
なのかというと必ずしもそうではありません。「自分が変わるような体験がで
きるかも知れない」「考えるためのきっかけが欲しい」。参加者で一番多いの
はこんな個人的関心、内面的な関心をもった人たちです。「自分探し」とよべ
るような動機の参加者も一週間も旅をして帰ってくると、旅で出会った経験に
ついてしっかり話ができるようになります。

※注意すること
スタディツアーでは習慣の異なる人々と出会います。土地に暮らす普通の人
々の家にホームステイすることもあります。私たちを迎えくれる相手の習慣を
良く理解して迷惑をかけないようにするとともに、心を開いて笑顔で交流しよ
うという心がけが大切です。
スタディツアーでは環境の異なる土地を訪れます。訪問先がマラリアやデン
グ熱など日本では見られない感染症の発生地域であることもあります。FUN
Nではツアーを企画するNGOを対象に感染症の勉強会を開いています。参加
者も食べ物に注意し、蚊などの虫除けをしっかりしなければなりません。感染
症対策はスタディツアーで最も大切なポイントです。しかし、現地の人々は感
染症にかかっても十分な治療を受けることができないのに、自分たちだけ万全
の予防をしている、こんな違いに悩んでしまうこともあります。

※情報はどこにあるの?
スタディツアーの一覧を見ることができるポータルサイトが便利です。FU
NNのようなネットワーク型NGOのサイトにはツアーの一覧が掲載されいて
ます。また、スタディツアーを専門に取り扱っている旅行社のサイトも参考に
なります。
ホームページだけでなく直接に話しを聞いてみたい人のためにFUNNでは
スタディツアー合同説明会を開いています。スタディツアーを企画するNGO
が一堂に集まりそれぞれのブースでじっくりと相談することができます。

※「安全」で「衛生的」なの?
土地の人の暮らしに触れること、これがスタディツアーの「学び」です。だ
から、スタディツアーに日本の普段の暮らしの基準をそのままあてはめれば、
「安全」な旅行でも「衛生的」な旅行でもない、ということになります。その
違いを知ることから、スタディツアーの「学び」は始まります。十分に説明を
聞いて理解をし、納得をしてから参加して下さい。

 


 

 

■□■ 「旌善アリラン祭に、金南基を聴く」へのお誘い ■□■

このところ恒例となった「本場のパンソリを聴く会」の秋の旅行のご案内で
す。今回は旌善アリラン祭に焦点を絞りました。これまでの私たちの旅は、い
くつもの祭りやイベントを詰め込んだ欲張りなプランが多かったのですが、今
年はどういう訳かこの時期の韓国の様々な行事はバラバラの日程で開催されま
す。これも「あまり、急ぐな、欲ばるな」という天の配剤と心得、今年はよそ
見をしないでじっくりと江原道の旌善に宿を定めて祭りを堪能しようという趣
向です。

旌善アリランは、珍島アリラン、密陽アリランとならんで韓国三大アリラン
の北の頂点と呼ばれています。会としては3度目の旌善ですが、旌善アリラン
祭の時期に彼の地を訪れるのは初めての試みです。旌善アリランのこぶしがき
いた唄声は「心にしみる」というおざなりな表現ではおさまらないほどに印象
的なものです。旌善を訪れるたびに、聞こえてくるアリランの旋律は、頭の中
でグルグル回って、耳の底にこびりつきます。珍島アリランや密陽アリランに
はこれほどまでに人を引きつける磁力はありません。脳の深層部への効果があ
るのではないかと思われるほど、圧倒的な力を持って聴かせる唄、はまり込む
民謡です。3泊4日ドップリ旌善アリラン祭という今回のプランはアリラン中
毒が心配になるほどです。「なんという強烈な文化的財産を旌善の人々は持っ
ているのだろう。」これがこれまで旌善に滞在した私たちの印象です。

今回の旅では会の代表、中山一郎さんがその声に惚れ込んだ金南基さんにお
会いします。『北と南のアリラン伝説』というCDに収録された金南基さんの
声に惚れ込んだ中山さんたちの「どうしてもこの人が唄う旌善アリランを手の
届くような場で聴きたい」というわがままな夢を実現します。三大アリランを
それぞれの地を訪ねて聴き歩いた私たちは「場を選ぶ」という贅沢を覚えてし
まいました。一席設けて酒を酌み交わしながら手の届くような場で唄っていた
だく、これが最高の贅沢です。そして、今回は「歌い手を選ぶ」というこの上
ない贅沢をやってのけようとしています。

私たちの旅は、分かる人にしか分からない面白さが魅力なのかもしれません。
しかし、一度味を占めると癖になる旅のようです。これまでの16年間続いた
私たちの旅には「どこで聞きつけたのだろう」と不思議になるような参加者が
増えています。全国に散らばるほんの一握りの、しかし確実に存在する「分か
る」人々がどこからともなく集まってきます。

本場のパンソリを聴く会 事務局 山田和生


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