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脱原発への道」ツアーの企画ができるまで


メールイカロス No.487
発行:(株)マイチケット 2011年11月23日 トラベルメールマガジン

     「脱原発への道」ツアーの企画ができるまで

 ドイツ緑の党のシルビア・コッティング・ウール下院議員がみどりの未来の
招きで5月に来日し、福島県飯舘村などの被災地を訪れた後に、大阪で直接に
お会いする機会があった。初対面のシルビアさんに、いきなりドイツの脱原発
の選択を視察する旅行計画を持ちかけ、その実現への協力と受け入れをお願い
した。唐突なお願いにもかかわらず、シルビアさんにはその場で快諾をいただ
いた。原発事故の報道を毎日目にしながら、旅行業として何かできないかと悶
々としていたのだが、ドイツへの企画の実現に向けて一気に走り出した。「脱
原発への道 3.11後の世界とドイツの選択」と題する今回の旅は、ドイツ緑の
党とシルビアさんのネットワークをフルに活用することで初めて実現する旅で
ある。
 シルビアさんのドイツに帰国後、さっそくツアーの企画案が送られてきた。
ところが、この企画案に登場する地名を地図上で特定する作業がひと苦労であ
った。再生可能エネルギーの活用する「エネルギー自然村」として名高いマウ
エンハイム。中・低レベルの核廃棄物貯蔵所があるコンラート。高レベル核廃
棄物最終処分場候補地ゴアレーベン。手元の地図を探しても、グーグルマップ
を活用しても、どの地名も簡単に見つけることはできない。それもそのはず、
「エネルギー自然村」は「村」単位の試みであり、核廃棄物貯蔵所や最終処分
場は地図上の地名の書かれないような人口の少ない地域が選ばれる。
 地図上の位置を確定し移動時間を計算して日程を固めると、次は通訳の問題
が浮上する。この旅から持ち帰る情報は、これからの日本の原発利用の道を左
右するものになるかも知れない。その大切な役割を果たす通訳を探して、日本
在住のドイツ人に打診すると、3.11後に日本からドイツに移り住んだドイツ人
が多いことに気づく。幸い、ドイツ在住の素晴らしい通訳の協力を得ることが
できた。
 このツアーで訪れる原子炉安全局は原発推進の立場と抑制の立場の双方から
なる委員が原子炉の安全性について監督する政府機関である。やらせの横行が
発覚して信頼が揺らぐ日本の原子力行政と比較すると、まずは民主主義がまと
もに機能しているかどうかの問題であるように思える。このツアーで持ち帰る
ことになる詳細な報告が楽しみである。
 シルビアさんは、11月にも再度来日し、各地で集会が開かれた。福島県か
らの参加申し込みもあり、ツアーに関心を持つ人々からの問い合わせがあいつ
いでいる。
 脱原発を確信する人に限らず、原発が必要かどうか判断に迷っている人にも
ぜひこのツアーに参加して欲しい。「原子力発電所をやめて、高度な産業を維
持する安定した電力供給が可能なのだろうか?」という問いは、私たちだけの
ものではない。脱原発を選んだドイツは、これからもフォルクスワーゲンやベ
ンツを作り続ける。そして17機の原発を廃止してもその後に残る膨大な核廃
棄物の問題にも向き合わざるを得ない。脱原発への道は決して平坦なものでは
ないはずだ。


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