イカロスメール

  

体感する脱原発・フィールドワークとしてのドイツ


メールイカロス No.492
発行:(株)マイチケット 2012年2月7日 トラベルメールマガジン

  体感する脱原発・フィールドワークとしてのドイツ【連載・第1話】

 3.11から2ヶ月たった昨年の5月、東北の被災地と福島の原発の視察のた
めに来日したドイツ緑の党のシルビア下院議員と大阪で会った。シルビアさん
は日本のみどりの未来の招待で来日し、その案内役として足立力也さんが同行
していた。足立さんと私が、シルビアさんに脱原発を選択したドイツを視察す
るツアーの計画を話し、その受け入れをお願いしたところ即座に快諾をいただ
いた。ほんの1時間足らずの話し合いであったにもかかわらず、シルビアさん
がこの時に一気に語った人名と地名をつないだのが今回のツアーの行程である。
ゴアレーベン、コンラッド、マウエンハイム・・・シルビアさんの口からよど
みなく繰り出される馴染みのない地名に面食らいながら、足立さんと私は必死
でメモをとった。ツアーの計画を立てるためには地図上の位置関係と移動時間、
交流と懇談のアポイントを詳細に組み立てなければならない。すべてが手探り
であった。そして、やりがいのある作業であった。ツアーの行程を実際に歩い
てみて、彼女が初めての話し合いの場で即座に描いたツアーのイメージは、ド
イツ緑の党の脱原発に向けたこれまでの歩みをたどる道であることが分かった。
そしてその道には、ドイツ緑の党が取り組むこれからの課題が盛り込まれてい
た。そして何よりもこの旅には、シルビアさんが日本の人々に伝えたいと考え
る熱いメッセージが込められていた。
 可能な限りの訪問先を詰め込んだ日程と、話すことが山盛りの熱い人々。几
帳面なドイツだから時間通りにスケジュールが進むなどと考えてはいけない。
日本にも話し出したら止まらない人がいるように、ドイツでもその事情は変わ
らない。私たちは、ドイツで出会った人々の熱いメッセージをしっかりと受け
とめた。そして同時に「今度はゆっくり訪ねてみたい」という希望や「こんな
ふうな滞在をしたい」というアイデアが次々と生まれる旅でもあった。酒を酌
み交わしてゆっくりと話し合いたい人々。数日間ホームステイして背景と事情
を知り尽くしたい村。それぞれの地域の市民社会や個人がたどったこれまでの
歴史。どこまでも興味は尽きない。
 参加された方々による視察、交流、懇談の詳細な報告は2月中に予定されて
いる。私は、旅行を計画し手配した視点からの「ドイツ・脱原発への道」を報
告したい。シルビアさんの提案に沿って計画が進んだ今回の旅は「ドイツ・脱
原発への道」という圧巻の著書の、目次を駆け足で走り抜けるような日程であ
った。限られた日程を最大限活用して、私たちはドイツの経験を網羅的に概観
することができた。旅を終えて、この書物にはじっくりと読み見込めば必ず役
にたつと思われる章が、いくつもあることに気づいた。今回のツアーから得た
情報をもとに、これからどのような交流や企画が提案できるのか、その可能性
を考えてみたい。

次号から、メールイカロスの巻末に次のテーマで連載の予定です。
第2話、再生可能エネルギーの村マウエンハイム
第3話、新しいビジネスの可能性と再生可能エネルギー
第4話、最終処分場候補地、地下1000メートルの坑道へ
第5話、闘う市民と出会うゴアレーベンの女性闘士
第6話、責任をとる社会、論理的に歴史を検証する社会


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